カロリーって何だろう【信頼度:かなり高い】

まずは単位と呼び方の話から始めます。カロリーとはエネルギー(熱量)の単位で、「1calとは、1気圧のもとで水1gを1℃上げるのに必要な熱量」のことをいいます。1km=1000mと同じように1kcal=1000calです。栄養学では、cal(カロリー)で表すと桁数が多くなってしまうので、kcal(キロカロリー)を使用するのが普通です。古い本でCal となっているのは、kcalのことです。単位の呼び方について、例えば脂肪1gは9kcalですが、これを文字通りに「9キロカロリー」というのは正統派ですが、省略して「9カロリー」といってしまう場合もあります。

ダイエットや栄養に関して、「カロリー」は非常に大切です。ある意味絶対です。摂取カロリー(食事)と消費カロリー(生活活動や運動)のバランスで、摂取カロリーの方が多ければ太るし、少なければ痩せるという理屈です。誤解があるとすれば、「食べ物の持っているカロリー」と、それを食べたときに「体に蓄えられるカロリー」は厳密には異なることです。しかし、同じ個体で同じ運動量のもとでは、カロリーの高いものを食べた方が太りやすいということは間違いなく事実です。「糖質さえ制限すれば、あとは何をどれだけ食べても太らない」などといわれることもありますが、真っ赤なウソです(必ず太ります)。

医療の現場では、重症で意識がなくて長期間自分でご飯が食べられない患者さんがいらっしゃいます。そのようなときには、中心静脈栄養や経管栄養で栄養補給をするのですが、全て1日当たりのカロリー計算を行なっています。すなわち生きるか死ぬかの現場では、カロリー計算抜きでは対処できないのです。カロリーをどれだけ摂取して、どれだけ消費したかで、体が変化・もしくは維持されていくのです。これは健康で生活している人にも当てはまります。

ところが、カロリーというのは、エネルギー量であって「重さ」はありません。あるエネルギー量を持つ食品を食べて、そのエネルギーと同じだけの運動をすれば、理論的には全て帳消しになります。食品から得たエネルギーが余った場合には、そのエネルギーは主として脂肪に変換されて体内に貯蔵されます。しかし、食品のカロリーとは、タンパク質と糖質と脂質の含有量から算出された概念に過ぎないので、話がややこしくなるのです。運動で消費されるエネルギー(カロリー)にしたって、決してきちんと正確に測定できるものではなく、概念に過ぎません。その曖昧さには目をつぶるしかありませんが、カロリーという単位は有用で大切です。

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